「にわか仕込みで使えるヤツがいなかった、とか?」

 遊佐が疲れたように、左右の肩を揉みほぐす仕草で応じた。「所詮シロートだし」

 それよか早いとこ城に戻って、若ダンナに報告してやんないと。
 そう言おうとして不意の声に遮られた。久住だった。

「ああ、そりゃ最初からねェんだよ、種子島なんざ」

『??!』

 一斉に誰もが久住を振り返る。
 当の本人はクックッと嗤いをくぐもらせながら、更に。

「あのままボーズに前線に出て来られると、うっかり殺るチャンスが無さそうだったんでなぁ。種子島があるって吹きゃあ、無月なら十中八九、城に残す方を選ぶ。ボーズも油断するだろうしな、夏目が相手とくりゃ」

「・・・エ?」

「なに・・・言ってんだ?、アンタ・・・」

 遊佐と支癸が顔を凍り付かせて久住を凝視した。

 これは白昼夢か。
 久住は何を言ったのか誰も理解出来ない。このタイミングでふざけた冗談を言う男ではないと知っているからこその戦慄が走る。

 蒼白の表情で無月だけがどうにか、麻痺しそうな思考能力を必死に奮い立たせようとしていた。
 そう言えば夏目は、ずっと久住に付いて来ていたはずだった。いつの間に姿がない。
 何かが弾けたように次第に頭の中がクリアになっていく。そして一つの可能性が繋がった。