「ったく、割りに合わねー仕事だな」
 
ぼそっと支癸が言う。

「ギャラは当然、若ダンナの払いだよねぇ?」

遊佐の突っ込みに氷凪は一瞬、なんで俺が、とでも言いたげな表情を浮かべたが、おもむろに腕組みをして見せた。

「あいにく俺個人の私財はたかが知れてる。出世払いで我慢しろ」

「うわー夜見は明朗会計、にこにこ現金払いがモットーなんですケド」

「・・・お前はどこの金貸しだ」

「ボーズ、俺は現物支給でもかまわんぞー。酒とオンナ一年分で手を打ってやる」

「隊長、夏目ねーさんにバレたら殺されるって」

「お前らな・・・」

遊佐と久住がわざと言っているのも判っていて、どこからともなく笑いが起こる。

明日になれば、ここは血生臭い風が吹き抜けるだけの戦場になる。終われば、またこんな風に笑い合うのだと思っていた。

終わりなどある筈がないと。・・・みな信じていた。