晴輝くんが彼女じゃないって言ってるから私からは何も言えないし……

「あの、こちらへ」

寺についた雨愛はお墓のほうへ歩いていく

「お線香断られたのなら無理に家にいかなくてもここで手を合わせて帰ってください」

「晴輝のお父さんのお墓?」

「はい、私ここの娘なんです、それが縁で仲良くさせてもらってて、じゃあ私はこれで……」

頭を下げて雨愛は家のほうに帰っていった

雨愛は着替えてベッドに横になる

私おかしくなかったよね

冷静になろうと頑張ったんだけどな

亜美さん可愛かった、何であんな可愛い子と別れたんだろ……まあ別れたのは私は関係ないとしてこんな地味な私を好きって本当かな~

「雨愛~帰ってるの?」

「はーい」

母親に呼ばれておりていく

「ちょっと買い物し忘れたのあるから行ってくる、留守番お願い」

「お父さんは?」

「出掛けてる」

「わかった」

庭でも掃除しようかな

雨愛は庭に出ていった

あっ、亜美さん本堂のほうにもお参りしてくれたんだ

雨愛に気づいた亜美は近づいてきた

「あの、本当に晴輝とは付き合ってない?」

「はい」

「晴輝のことは好き?」

「まあ……」

「私も別れたけどやっぱり晴輝がいいの、積極的にいくから、今日はありがとう」

ニコッと笑って帰っていった

積極的に……ってどうするんだろう

晴輝くんは亜美さんが積極的にきたら元に戻りたくなるのかな?

でも今は付き合えないし晴輝くんの気持ちはまだ私にあるのかな~

あれから一年がこようとしているのに自立って何が基本?

晴輝くんの気持ちがしっかりしないと付き合うことはできないし

卒業してからかな

亜美が現れたことで雨愛は不安になってくる

駄目、笑顔がみたいって言われてるんだから笑わなきゃ

雨愛は口角を上げて笑う練習をする


次の日の昼休み、晴輝が雨愛の教室にやってきた

「雨愛、ちょっときて」

雨愛は席を立って廊下に出る

「何?」

「何で亜美に墓教えたんだよ」

「えっ」

「昨日亜美からメール入ってて、墓参りしたって雨愛に案内してもらったって書いてた」

「あっ、ごめんなさい……でもね……」

「もう、余計なことすんな」

晴輝はそう言って去って行った

「そんな……晴輝くん、私の話も聞いて欲しかった……」

雨愛は涙が溢れてきた

タオルハンカチで押さえしばらく廊下にいたが午後のチャイムが鳴ったので教室に入りしばらくは顔をハンカチで覆っていた