外に出ると、本来の目的を果たそうと思った。
樹里の言い方では、答えはあの映画にあるということになる。
だとしたら……。
「でも、知らなかったよ。樹里が病気だったなんて」
映画の主人公は病気の手術のためにアメリカに行った。
「病気? わたしが? まあ低血圧だけど」
樹里が首を捻った。
「だって、手術するためにアメリカに行くんでしょう?」
「誰がそんなこと言った?」
呆れたように僕を見る。
「違うの?」
アメリカになぜ行くのかと聞いた時、この映画を観に行こうと言ったから、てっきりこの映画と同じ理由で行くんだと思い込んでいた。
「違うわよ。私はそんなこと一言も言ってないけど」
樹里が肩を竦める。
「じゃあ、どうしてこの映画を観に行こうって言ったんだよ。それに涙まで流してたじゃないか」
そうでなければこの映画を観に来た意味がわからない。
「アメリカへ行く話をしてたら、急にこの映画の宣伝をしていたことを思い出して見に行きたいなあと思って、誘っただけよ。それに涙を流したのは、上を向いていたら、急に目が痛くなって涙が出てきただけよ」
どういう発想だ。樹里の考えにはついていけない。涙を流してたのも目にゴミでも入ったていうこと?
「じゃあ、どうしてアメリカへ行くの?」
僕の疑問はまた元に戻った。
「夕食どうする?」
樹里は僕の質問をスルーする。まだ5時前だ。
「どこかで時間を潰して、食べに行く?」
樹里が首を横に振った。
「わたしが作るから、家で食べよう」
外では理由が話せないという意味だろうか? そんなに秘密にしないとならない理由ってなんだろう。ますます気になる。
「家って、樹里の?」
僕の家も樹里の家も駅から歩いて帰れる距離だが、樹里の家の方が駅に近い。
「そうよ。どうしてわたしが隆司の家で夕食を作らないといけないの。わたしの家じゃ嫌なの?」
キッと樹里が睨む。
「嫌じゃないけど……」
一応カレシとはいえども、女子の一人暮らしの部屋に行っていいんだろうか?
それに樹里の住んでいるマンションは女性専用マンションだ。
「樹里のマンションは女性専用マンションだけど、男でも入れるの?」
僕は疑問を口にした。
「男の人の出入り禁止っていうマンションもあるけど、うちのマンションはちょっと入り口で面倒な手続きがあるけど、男の人も入れるわよ。住んでいる人の男の家族が様子を見に来たり、カレシを連れ込む人もいるわ。契約違反だけど、カレシを泊める人もいるんだから」
樹里は大胆なことを言う。
「そう」
夕食を食べたらすぐ帰ります。
「何が食べたい? 今からじゃ手の込んだものは作れないけど」
樹里は料理が上手いので、作ってくれるものはなんでも美味しい。今まで作ってくれたものが色々頭に浮かぶが、簡単にできそうなものを考えた。
「オムライス」
樹里が作ってくれるオムライスは大好きだ。
「オムライスなら簡単に作れるわ。鶏肉と卵を買わないと。スーパーに行きましょう」
2人で駅前のスーパーに行った。鶏肉や卵を買い物カゴに入れていく。
なんか2人で買い物をしていると、一緒に暮らしている恋人同士か新婚夫婦になったかのような変な気分になってくる。
レジで僕がお金を払うと言ったら、余った食材は自分が使うからいらないと言われてしまった。
ただし、買い物袋は当然僕が持つことになる。
買い物袋を持って、マンションに向かっていると、ポツポツと頭に何かが当たった。
「雨?」
空を見上げると、雨粒が落ちてくる。
「走るわよ」
僕も樹里も傘を持ってない。
樹里が走り出したので、僕も慌てて走り出す。
樹里はすごく速い。
運動神経がよくない僕がいくら走っても樹里に追いつくどころかどんどん引き離されて行く。
最初はポツポツだった雨が急に激しくなって滝のように降り出した。
樹里の言い方では、答えはあの映画にあるということになる。
だとしたら……。
「でも、知らなかったよ。樹里が病気だったなんて」
映画の主人公は病気の手術のためにアメリカに行った。
「病気? わたしが? まあ低血圧だけど」
樹里が首を捻った。
「だって、手術するためにアメリカに行くんでしょう?」
「誰がそんなこと言った?」
呆れたように僕を見る。
「違うの?」
アメリカになぜ行くのかと聞いた時、この映画を観に行こうと言ったから、てっきりこの映画と同じ理由で行くんだと思い込んでいた。
「違うわよ。私はそんなこと一言も言ってないけど」
樹里が肩を竦める。
「じゃあ、どうしてこの映画を観に行こうって言ったんだよ。それに涙まで流してたじゃないか」
そうでなければこの映画を観に来た意味がわからない。
「アメリカへ行く話をしてたら、急にこの映画の宣伝をしていたことを思い出して見に行きたいなあと思って、誘っただけよ。それに涙を流したのは、上を向いていたら、急に目が痛くなって涙が出てきただけよ」
どういう発想だ。樹里の考えにはついていけない。涙を流してたのも目にゴミでも入ったていうこと?
「じゃあ、どうしてアメリカへ行くの?」
僕の疑問はまた元に戻った。
「夕食どうする?」
樹里は僕の質問をスルーする。まだ5時前だ。
「どこかで時間を潰して、食べに行く?」
樹里が首を横に振った。
「わたしが作るから、家で食べよう」
外では理由が話せないという意味だろうか? そんなに秘密にしないとならない理由ってなんだろう。ますます気になる。
「家って、樹里の?」
僕の家も樹里の家も駅から歩いて帰れる距離だが、樹里の家の方が駅に近い。
「そうよ。どうしてわたしが隆司の家で夕食を作らないといけないの。わたしの家じゃ嫌なの?」
キッと樹里が睨む。
「嫌じゃないけど……」
一応カレシとはいえども、女子の一人暮らしの部屋に行っていいんだろうか?
それに樹里の住んでいるマンションは女性専用マンションだ。
「樹里のマンションは女性専用マンションだけど、男でも入れるの?」
僕は疑問を口にした。
「男の人の出入り禁止っていうマンションもあるけど、うちのマンションはちょっと入り口で面倒な手続きがあるけど、男の人も入れるわよ。住んでいる人の男の家族が様子を見に来たり、カレシを連れ込む人もいるわ。契約違反だけど、カレシを泊める人もいるんだから」
樹里は大胆なことを言う。
「そう」
夕食を食べたらすぐ帰ります。
「何が食べたい? 今からじゃ手の込んだものは作れないけど」
樹里は料理が上手いので、作ってくれるものはなんでも美味しい。今まで作ってくれたものが色々頭に浮かぶが、簡単にできそうなものを考えた。
「オムライス」
樹里が作ってくれるオムライスは大好きだ。
「オムライスなら簡単に作れるわ。鶏肉と卵を買わないと。スーパーに行きましょう」
2人で駅前のスーパーに行った。鶏肉や卵を買い物カゴに入れていく。
なんか2人で買い物をしていると、一緒に暮らしている恋人同士か新婚夫婦になったかのような変な気分になってくる。
レジで僕がお金を払うと言ったら、余った食材は自分が使うからいらないと言われてしまった。
ただし、買い物袋は当然僕が持つことになる。
買い物袋を持って、マンションに向かっていると、ポツポツと頭に何かが当たった。
「雨?」
空を見上げると、雨粒が落ちてくる。
「走るわよ」
僕も樹里も傘を持ってない。
樹里が走り出したので、僕も慌てて走り出す。
樹里はすごく速い。
運動神経がよくない僕がいくら走っても樹里に追いつくどころかどんどん引き離されて行く。
最初はポツポツだった雨が急に激しくなって滝のように降り出した。