「君去津~~!!」
ダイヤモンド・キングの高らかな声に、体育館にいるヒトビトが、一瞬緊張する。
そして、次の瞬間。
生徒だけじゃなく、先生達までもが拳をつきあげ、叫んでた。
「「「Cards soldier(カーズソルジャー)!!!」」」
うぁああああ~~!!!!
大きな歓声と一緒に、クローバー・ジャックの……宗樹のドラムが、会場一杯に響き渡る。
すごい!
すごい!!
ここ、体育館じゃないみたい!!!
ついさっきまで二人は、優秀な生徒会の役員だった。
入学式の全体を取り仕切る要らしい宗樹が、影で次々と指示を出しているのを見た。
そして、生徒会長の神無崎さん、メガネをかけた優等生然として、原稿無しで、堂々と新入生の歓迎のあいさつをしていたのに!
彼らが、衣装とメークを改めて、演奏始めたとたん。
入学式と新入記念写真撮影が終わった後の、静かな雰囲気をものの見事に吹き飛ばし。
特に何の飾りもない普通の学校体育館が、あっという間にノリの良い、イベント会場に早変わりしたんだ。
わたし、音楽好きだけど、毎日聞いてるのがピアノ曲ばかりだった。
こういう軽音……っていうか、バンドのコトに詳しくない。
普通なら、聞き慣れない曲ってあんまり好きじゃない事が多いけど。
初めて聞くCards soldierの曲や歌はキライじゃない……って言うか。
具体的に、大好きかも!
聞いていると、心が持って行かれそうな熱い演奏に『魂』の絶叫って言うヤツが聞こえるような気がする。
オトモダチなりたての井上さんが熱心にカタってくれたけど、宗樹がドラムで、神無崎さんがヴォーカルとギターの担当なんだって。
一番目立つているのは、もちろん、ダイヤモンド・キングな神無崎さんだ。
曲の途中でギターを弾きながら、神無崎さんは気持ちよさそうに、ステージ上を歩きまわっている。
そして。ドラムスティックを器用にくるくる回して叩く宗樹のとこまで遊びに行く……というか。
演奏の邪魔寸前まで、かまいに行くのが、二人、仲良さそうで良い。
これはこれで、とても素敵なんだけど!
いかにも助っ人みたいな、地味なバックバンドのヒトビト、少し多い……かな?
ちゃんとしたCards soldierのメンバーで、ヴォーカルかギター専門のヒトを入れて分業するか。
もしくはベースを入れれば、見た感じもバランス良いのになって素人でも判る。
確かに、ここで新メンバーを増やすっての、正解かもしれない。
でも。
ステージで演奏しているのを見ると、キングはもちろん、宗樹だってかなり派手だし、演奏だって上手だ。
生半可なヒトを入れても、助っ人にしか見えなかったりして……ははは。