真梨からのたくさんの着信やメッセージを見ることができたのは、さらに二日後のことだった。ようやく少しずつ現実が受け止められるようになったのかもしれない。

【心配かけてごめんね。まだ電話に出られないけど、とりあえずごめん】

メッセージを打ち込むと、待っていたかのようにすぐに既読がつき、

【茉奈果が謝ることじゃないよ。メッセージくれてうれしいよ】

と返信がきた。

【うん】

と、返してからベッドに座って続きの文章を考えていると、またスマホが光った。

【もう大丈夫なの? ご飯は食べられているの? みんな心配してるよ。幼なじみだもんね】

【こんなことになるなんて、なんて言っていいのかわからないけれど、茉奈果に会いたいよ】

次々とくるメッセージに、心配をかけていることを痛感した。

【明日からは行けると思う】

そう打つけれど、

【明日は土曜日だよ】

と返される。知らない間にもう一週間が経とうとしているんだ……。

【そっか。じゃあ月曜日だね】

送信ボタンを押した瞬間に、また真梨からのメッセージが届く。

【明日の土曜日、初七日法要があるの。公志の家で午前十時から】

文字を何度も読み返す。すぐに、ムリと答えは出た。

初七日法要に参加してしまったら、公志とは本当にさようならをしなくてはいけない気がしたから。

「そっか……」

つぶやいて視線を宙にさまよわせた。

私は現実を受け止めないことで、なんとか精神の均衡を保とうとしているのかもしれない。 でも……。

結局お葬式にも行けなかった。せめて初七日法要だけは行きたい。ちゃんと公志を見送りたい。そう思えたことに、自分でも驚いた。

【私も行こうかな。公志の家の前で待っててくれる? ひとりだとムリそうだから】

【もちろんだよ。ムリだったらいいからね】

【わかった。もう寝るね】

【おやすみなさい。眠れなかったら電話して。絶対だよ!】

真梨のやさしさに「ごめんね」とつぶやくとスマホを置いて、ベッドに仰向けに寝転ぶ。

白い天井を眺めた。今日は雨は降っていないらしく、しんとした部屋が少し蒸し暑い。

——公志がいない世界に、私は生きているんだ。

それを考えると、悲しさよりも寂しさで心が震えた。