あれから三日が経ったと、リビングでお父さんとお母さんが教えてくれた。私は、あの電話の後から、ショックでなにを言っても返事すらしなかったそうだ。

「公志は、本当に死んだの?」

もう何回したかわからない質問にも、ふたりは悲しみを浮かべてうなずく。ひょっとしたら悪い冗談なのかも、という希望の光はそのたびに消えていく。

「……事故で?」

「そう」とうなずくお母さんが、ホットミルクを私の前に差し出した。白い湯気が生きているみたいにゆらめいている。

「車にはねられて……亡くなったのよ」

「そう、なんだ……」

あんなにいつもそばにいたのに、もう公志がいないなんて実感がわかない。

呆然とする私に、お葬式が昨日終わったことをお母さんが教えてくれた。言葉は耳に届いても意味を理解できないまま、宙に溶けゆく湯気を見ていた。

「つらいわね。悲しいわよね」

気遣うお母さんに、うつむいた。

そんな感情、まだ私には生まれていないよ。まるで、心と身体がバラバラになったみたい……。

「お母さん……」

力なくそう言う私に、ふたりは私を見た。

「あのね、しばらく学校休んでいいかな?」

「もちろんよ」

「ああ。学校には父さんが電話しておくから」

ふらりと立ち上がって歩き出す私は、まるで機械仕掛けの人形みたい。

リビングを出る前に振り返ると、ふたりはまだ私を見ていた。本当はまだすがっていたいほどに苦しい。でも心配かけたくなくて、私は軽くうなずく。

「ちゃんと……元気になるから」

口にしてみたけれど、そんな未来があるとは到底思えなかった。