「今から町内会のゴミ拾いがあるのよ。茉奈果も元気になったなら手伝ってくれない?」

「ええー」

片づけとか整理がいちばん苦手な私に言う?
いつもなら断るところだけど、ふと考えなおす。このまま家にいても暗くなるだけだし、なにかしていたほうがいいかもしれない。

「わかったよ。でもその前になにか食べさせて。お腹ペコペコだよ」

実際に、熱を出してからはまともに食べていなかったから空腹だった。食欲が出て きただけでも、気持ちが少しは回復してきたと思いたい。

「昨日の夜ご飯あっためてあげる」

と言って、お母さんが冷蔵庫に向かった。

「あまり熱くしないでね」

猫舌の私。お母さんは

「まかせて」

と答えて、鼻歌まじりにレンジのなかへお皿を入れた。


その時ふと、千恵ちゃんの顔が浮かんだ。なんの脈略もなく浮かんだ映像につられるように、

「帰りに、千恵ちゃんの家に寄っていこうかな」

そう口にすると、

「え?」

と、きょとんとした顔をするお母さん。

「最近、あんまり行ってないしさ」

言い訳っぽいな、と思いながら言う。