『高橋茉奈果は、"まんなかまなか"』

誰が最初にそのあだ名で私を呼んだのか、今となっては覚えていない。

たしか、中学二年生になったばかりの頃。
保健の授業で、前の週に行われた健康診断の結果が配られた。それをもとに、先生が中学二年生の平均身長や体重について話をして、自分のデータと比較をすることになった。

正確な数値は覚えていないけれど、その時の私の身長と体重がまさしく平均値だったのだ。それに気づいた隣の男子がおもしろがって騒ぎ出し、その話題が水面に小石を落としたように広がっていった記憶がある。

ひとつ前の授業で、国語のテストが返却され、
『平均点は六十八点。高橋がまたその点数だったな』 と、先生が笑い、私に"まんなか"という印象が残っていたのも災いしたと思う。