《みなさんこんにちは。お昼の放送です》
公志の声が聴こえる。にやけそうになる口元を締めて、声に耳を澄ませる。
《梅雨入りをしてから毎日雨ばかり。今日のオープニングナンバーは、そんなうっとうしさを吹き飛ばす曲から。なんと、野球部の二年生一同からリクエストをいただきました》
「お前じゃね、これ」
「おお、マジで流れた」
クラスの男子が喜ぶ声が聞こえ、最近流行りのアイドルの曲が流れた。軽やかなポ ップスが、雨の音を消していく。
中学の時放送部に所属していた公志は、高校生になっても同じ部に入った。それは、彼の夢がラジオのパーソナリティになることだから。
きっかけも覚えている。
小学校の時に社会見学で行ったラジオ局で、番組の生放送を見たことがはじまりだ。
あの時近くに立っていた公志は、目と口をぽかんと開けてその様子を見入っていた。
キラキラと目を輝かせて、帰る時間になりクラスメイトがスタジオを後にしても、 最後まで夢中になっていたっけ……。
それ以来、話すのはラジオの話ばかり。それは何年経っても変わらず、むしろその思いが強くなっているみたい。
公志の声が聴こえる。にやけそうになる口元を締めて、声に耳を澄ませる。
《梅雨入りをしてから毎日雨ばかり。今日のオープニングナンバーは、そんなうっとうしさを吹き飛ばす曲から。なんと、野球部の二年生一同からリクエストをいただきました》
「お前じゃね、これ」
「おお、マジで流れた」
クラスの男子が喜ぶ声が聞こえ、最近流行りのアイドルの曲が流れた。軽やかなポ ップスが、雨の音を消していく。
中学の時放送部に所属していた公志は、高校生になっても同じ部に入った。それは、彼の夢がラジオのパーソナリティになることだから。
きっかけも覚えている。
小学校の時に社会見学で行ったラジオ局で、番組の生放送を見たことがはじまりだ。
あの時近くに立っていた公志は、目と口をぽかんと開けてその様子を見入っていた。
キラキラと目を輝かせて、帰る時間になりクラスメイトがスタジオを後にしても、 最後まで夢中になっていたっけ……。
それ以来、話すのはラジオの話ばかり。それは何年経っても変わらず、むしろその思いが強くなっているみたい。