放送部に情熱を注いで、勉強は苦手でもスポーツ万能の公志と、まんなかまなかの私の間には溝がある。それは、けっして越えることができないほどに深い。
失恋することがわかっていて、誰かに打ち明ける勇気なんて、私にはないから。

早食いの真梨はさっさとお弁当を食べ終えると、

「じゃあ行ってくるね。おやすみ~」

と、いつものように教室を出ていく。演劇部に所属している真梨は、昼休みに行っている発声練習に参加しているそうだ。

一方、私は帰宅部。興味のあることもないし、平均点の私じゃどんな部活に入っても結果を出せないことはわかっているから。ため息をつきながら机に頭をつけると、 雨の音がさらさらと耳に届く。

ここからは私のお昼寝タイムがはじまる。私が食後机に突っ伏して寝ることは周知の事実らしく、よほどのことがないかぎり誰も話しかけてこない。
……だけど、本当は違う。 最初は本当に眠くて寝ていたけれど、二年生になってからは寝たフリばかりを続けている。それは……。

ジジッ   ゴトン――

マイクの音源が入る音が、教室前方にあるスピーカーから聴こえた。いつものアップテンポなメロディが流れれば、お昼の放送がはじまる。