深く頭を下げてから、きびきびした動きで戻っていく武田さん。そのうしろ姿を見ている私の耳に、チャイムの音が鳴り響く。
胸が、走った後みたいに速く鼓動を打っていた。

昼休みになると雨は大粒になり、二階にある教室の窓を不規則に打ちつけた。

「行ってくるわ」

公志はみんながお弁当を広げるなか、カバンを手にしてそう言う。

「あ、うん。がんばって」

ぎこちなく答える私に片手を上げると、急ぎ足で教室を出ていく。