「よっし莉子、気分転換に楽しい話しよ! 夏休みになったら今年も行くからね、あたしんちの別荘! 今年は三人の彼氏も誘ってさぁ」

「あんなボロ屋を別荘なんて言わないでよ、本当の別荘を持ってる人に失礼だよ」

 まだむくれている莉子は言ってくれるねー、と沙有美に紙コップを奪われている。ていうかそれ、元はあたしのなんですけど。

 別荘と言えば聞こえはいいが、相続で沙有美のお父さんが受け継いだ、普段は使われていない古い3LDKをそう呼んでいるだけ。

 といっても、千葉の北側の海岸沿い、海まで歩いて二分の好ロケーション。去年は四泊五日で行って、バーベキューに花火にすいか割りに肝試し、思いつく限りの遊びを堪能したっけ。

「男の子と一緒に旅行なんてあたしの親が許すわけないし」

「百合香は真面目だねー、男子が一緒なんて言わなきゃいいだけじゃん! 去年と同じ、いつもの三人で行くって言っときゃいいの」