不思議な夢だった。

 上も下も右も左もわからない空間に、ぽっかりと浮かんでいる。こんな事はありえないんだけれど、足の下に床がなかった。ありえないからこそ、夢だと確信できた。

 目の前に女の子がいた。長い髪にちょっと釣り目気味の目、口紅が似合いそうなぽってりとした唇。たぶん歳は私と同じくらいだろう。でも背が高くて手も脚も長くて、まるで外国の人みたいだ。何より、変わったものを着ている。胸元にリボンがついたモダンな服は腕が丸だしで、今にもおへそが飛び出しそう。下半身は裾を波型に裁断した、思いきり短いズボン。こんな恰好をした女の子、私は知らない。

 すっと、互いに手を差し伸べていた。目の前の知らない誰かを確かめるように。

「誰……?」

 私たちの声が重なる。途端に、ふたりの手の間から白い光がふくらむ。

 地震だ、と思った。それもかなりの大地震。縦に横に身体を振られ、意識が消えていく。痛くも苦しくもないけれど、何が起こっているのかわからない恐怖で何度か叫んだ。その叫びさえも、消えゆく意識に吸い込まれ無きものとなる。

 最後に思った。ゲイリー、助けて。