あの時あたしが仏壇下部の引き出しから何を取り出したのか、そしてひいおじいちゃんが何でそんなに怒ったのか、もう全然思い出せない。たしかにひいおじいちゃんは、怖い人だった。サングラスをしているから、というのもあるけれど、昔の人にしては背が高くて大きくて、全然笑わないし、しゃべらない。かといって何かに腹を立てる事もなく、他人から見ればおとなしい年寄りだったと思う。
そんなひいおじいちゃんが唯一あたしの前で怒りを表したのが、あの時だった。
「ひいおじいちゃんってさー、どんな人だったっけ? なんかこれから死ぬって言われても、悲しいとか可哀相とか、そういうの全然ないや」
高校生のあたしが思っても言えなかった事を、小学生の無神経さで蓮斗が口にして、すかさずお父さんに頭をはたかれていた。
「そういう事を言うな。お母さんのおじいちゃんなんだぞ」
「しょうがないわよ。最後に会った時、蓮斗はまだ小さかったしね」
のんびり応じるお母さんの気を引きたいのか、あやめが「ねぇねーあやめ、今日ねー」と言い出して、夕食の席の話題は自然とそちらに移っていった。
そんなひいおじいちゃんが唯一あたしの前で怒りを表したのが、あの時だった。
「ひいおじいちゃんってさー、どんな人だったっけ? なんかこれから死ぬって言われても、悲しいとか可哀相とか、そういうの全然ないや」
高校生のあたしが思っても言えなかった事を、小学生の無神経さで蓮斗が口にして、すかさずお父さんに頭をはたかれていた。
「そういう事を言うな。お母さんのおじいちゃんなんだぞ」
「しょうがないわよ。最後に会った時、蓮斗はまだ小さかったしね」
のんびり応じるお母さんの気を引きたいのか、あやめが「ねぇねーあやめ、今日ねー」と言い出して、夕食の席の話題は自然とそちらに移っていった。