「いくら雨が降りやすい土地とはいえ、さすがに毎日雨が降ると困る方が多いでしょう。私は、とびきりおいしい甘味が出る日におもてなしができない時は残念だと思うこともございますが、こうしてお日様が見える日も必要なのです」

「確かに、晴れてくれなきゃ困るもんね。おばあちゃんは雨が好きだったし、私もその影響で雨は嫌いじゃないけど、太陽が出てると気持ちがいいし」

「ひかり様のおばあ様は、雨がお好きだったのですか?」

「変わってるでしょ?」

「いいえ。雨天様がお聞きになれば喜ばれると思います」

「うん、喜んでたよ」


私の言葉に、コンくんは優しい眼差しで「そうですか」と口にした。
雨天様も、昨日この話をした時に似たような表情をしていたことを思い出す。


「コンくんは、雨が好き?」

「はい、もちろんでございます。ですが、お日様も大好きです。晴れた日には縁側で甘味を食べるのですが、それがまた格別においしいのです。きっと、今日もたくさん食べてしまいます」

「へぇ、そうなんだ。じゃあ、楽しみだね」

「はい。雨天様もお日様が好きですから、楽しみにされているはずです」


雨天様という名前や、雨を降らせるという力のことを考えれば、太陽が好きというのは意外な感じもしたけれど……。
雨天様も晴れている日が好きだと聞いて、なんだか嬉しくなった――。