告白された本人である海斗は、初めて貰った手紙がよほど嬉しかったのか、自慢げに私たちにそれを見せびらかしてきた。
「何書いてるか知りたい?」と、別に聞いてもいないのに、その手紙の内容を知りたいかなんて聞いてきたり。
明らかに告白されて浮かれている。
そんな海斗の姿は、何故か私を苛立たせ無性にイライラさせた。
だけど、そのイライラの原因がなんなのか。私には、最初は全然わからなかった。
こんなことを言ったら海斗を調子に乗らせてしまうと思うけれど、海斗は昔から女の子にモテていたし学校でも人気者だった。
運動神経は抜群で、いつもクラスの中心にいるようなリーダーシップのある性格をしていて。
人を笑わせることが好きで。
おもしろい遊びを思いつくと、周りを巻き込んでみんなで楽しむ。
そんな海斗に周囲の女子たちは「緒方っておもしろい」とか「海斗君がクラスで一番格好いい」とか。
身近にいると自然とそうやって好意をもつような子たちが小学生の頃からたくさんいた。
でも、ずっと別に何とも思わなかった。
それなのに…中学生になってからというもの。
その告白の一件を境に、それが何とも思わずにいられなくなった。