イチゴ味のかき氷を手にみんなの元に戻ると、それぞれ手にしていたものをひとまず食べ、小休憩が取れた私たちは再び混雑する夏祭り会場を歩き出した。
「花火って、何時からだっけ?」
「確か七時五十分だったと思うけど」
「じゃあ、あと十分くらいか。なんとか間に合いそうだな」
みんなのそんな会話を聞きながら、足並みを揃えて人混みを進む。
三年ぶりに復活した夏祭りはあの夏が帰ったきたように多くの人で賑わい、活気を取り戻したように見える町の姿には、なんだかこみ上げてくるものがあった。
そばを流れる川は穏やかに流れ、時折吹く蒸し暑い風は露店のいろんな匂いを運んでくる。
まるで、あの夏に戻ったようだった。
私たちはあの日も、こうしてみんなで歩いていた。
いつものお決まりのスポット。
陽ちゃんのお父さんが働く、運送会社の駐車場に向かって。
花火がとても綺麗に見える、ベストなその場所を目指して。
みんなで…歩いていたんだ。
今はもうここにいない、海斗も一緒に。
そう。いないんだ。
今は、もうそばにいない。どこにもいない。
それをわかっているのに、どうしてなんだろう。
考えないようにしなきゃって思えば思うほど、海斗の姿は浮かんでくる。
「……っ…」
鼻の奥がツンと疼き、急速に滲んでいく目の前の景色に、私はたまらずぎゅっと目を瞑った。
海斗…会いたいよ。
海斗に会いたくて、苦しいよ。
三年経っても、変わらない。
胸の痛みは少しも癒えることがないまま、ずっとずっと私を苦しめていた。