3章 キセキの過去と殺人告白 じゅわっと豚の脂身が甘い。 もきゅもきゅと食事をしていれば、声をかけてきたのはきつねうどんをトレイに乗せた女。 「よっ、はるか」 「美鈴ちゃん、え、あれ?」 伊藤美鈴のトレードマーク、金髪のショートヘアに巨大な伊達眼鏡。 それが、艶やか黒髪のショートカットになっていたのだ。 「あ、髪?」 こくこく、と頷く。 「いやあ、教育実習でさ」 「教育実習……」 そういえば、もう私は大学四年だ。