次の日の夕方。私はリクルートスーツを着て、『こころ食堂』の前に来ていた。相変わらず臨時休業の紙が貼ってある扉の前を、無駄にうろうろしてしまう。
響さんは、一心さんは厨房にいると言っていたけれど……。扉には鍵がかかっているし、チャイムもないし、どうやって呼び出せば良いのだろう。
大声で呼ぶとか? いやいや、それはさすがに迷惑だと思う。
うぅ~ん、と悩んでいると、目の前の引き戸がガラガラと開いた。
「……何やってるんだ」
顔を上げると、この間と同じ板前服に身を包んだ一心さんがいた。怪訝な顔で私を見下ろしている。
「い、一心さん? どうして」
「窓から君が見えた。休業の張り紙は目に入っているはずなのになかなか帰らないから、気になって見に来てみたんだ」
「そうだったんですか……。お手数おかけしてすみません」
「で、どうしたんだ? 何か用があってここに来たんだろう?」
「ええと、その……」
勇気を出すんだ。
私は鞄の中から履歴書を取り出し、一心さんに突き付けた。
「私を、この食堂で雇ってください! ここで働きたいんです!」
「……は?」
一心さんは、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた。
響さんは、一心さんは厨房にいると言っていたけれど……。扉には鍵がかかっているし、チャイムもないし、どうやって呼び出せば良いのだろう。
大声で呼ぶとか? いやいや、それはさすがに迷惑だと思う。
うぅ~ん、と悩んでいると、目の前の引き戸がガラガラと開いた。
「……何やってるんだ」
顔を上げると、この間と同じ板前服に身を包んだ一心さんがいた。怪訝な顔で私を見下ろしている。
「い、一心さん? どうして」
「窓から君が見えた。休業の張り紙は目に入っているはずなのになかなか帰らないから、気になって見に来てみたんだ」
「そうだったんですか……。お手数おかけしてすみません」
「で、どうしたんだ? 何か用があってここに来たんだろう?」
「ええと、その……」
勇気を出すんだ。
私は鞄の中から履歴書を取り出し、一心さんに突き付けた。
「私を、この食堂で雇ってください! ここで働きたいんです!」
「……は?」
一心さんは、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた。



