「あの、今日は普通にごはんを食べにきたんですけれど、食堂のほうはお休みなんですか?」
「そうなのよ。パートのおばちゃんがぎっくり腰で入院しちゃって、休職することになったのよ。一心ちゃんひとりじゃお店を回せないからって、新しい人が入るまでお店は休業することにしたみたい。出前のほうはひとりでもできるからって、電話注文だけ受けているみたいね」
「そうなんですか……」
ドクン、と心臓が大きく鼓動した。
「お店は閉まっていても、厨房にはいると思うわよ。挨拶するなら呼んできてあげましょうか?」
「いえ、大丈夫です。お仕事の邪魔をしちゃうと悪いので、また来ます」
「そう? 気が向いたらうちのバーにも来てね。サービスするから」
「はい、ぜひ」
一礼して、お店をあとにする。パンプスを履いた足が、だんだん駆け足になっていることに気付いた。
私、自分の気持ちに気付いてしまったかもしれない。就活が順調でも、心から喜べなかった理由がわかってしまったかもしれない。
自分が働きたい場所は、別にあるんだって――。
「そうなのよ。パートのおばちゃんがぎっくり腰で入院しちゃって、休職することになったのよ。一心ちゃんひとりじゃお店を回せないからって、新しい人が入るまでお店は休業することにしたみたい。出前のほうはひとりでもできるからって、電話注文だけ受けているみたいね」
「そうなんですか……」
ドクン、と心臓が大きく鼓動した。
「お店は閉まっていても、厨房にはいると思うわよ。挨拶するなら呼んできてあげましょうか?」
「いえ、大丈夫です。お仕事の邪魔をしちゃうと悪いので、また来ます」
「そう? 気が向いたらうちのバーにも来てね。サービスするから」
「はい、ぜひ」
一礼して、お店をあとにする。パンプスを履いた足が、だんだん駆け足になっていることに気付いた。
私、自分の気持ちに気付いてしまったかもしれない。就活が順調でも、心から喜べなかった理由がわかってしまったかもしれない。
自分が働きたい場所は、別にあるんだって――。



