お腹に食べものが入ったら、自分が空腹だったことを思い出した。お腹がすきすぎて夢中でごはんを食べてしまうなんて、いつぶりだろう。まわりの音も、景色も、何も目に入らなかった。頭がからっぽになったみたいに、お行儀なんて気にしないでおにぎりを頬張る。
気が付くと、おにぎりをまるまる一個、きれいに食べ終わっていた。指についた米粒まで、ぺろっと食べていた自分に驚く。
「……嘘みたい。食べられちゃった」
ミャオちゃんも、じっと私のことを見ている。表情は変わらないけれど、なんだか褒められているように感じて微笑み返した。
「ふふ、だから言ったでしょ」
響さんは自慢げに笑って、一心さんは「何で響が偉そうなんだ」と呆れていた。
「お米がすごく甘くて、おばあちゃんが炊いてくれたご飯に近い気がしました。この味、久しぶりに食べた気がする……」
「君のイントネーションが北関東特有のものだったから、茨城県産のコシヒカリを使ってみたんだ。たまたまうちの店でも、茨城の米農家と契約していたから」
「すごい……。私、出身が茨城なんです。おばあちゃんの実家は米農家でした」
「そうか。おばあさんは、いつも地元の米を使っていたのかもしれないな。値は張るけれど、それだけ君においしい米を食べさせたかったのかもしれない」
大学生になったばかりの頃、学食やファミレスでご飯を食べても、自分でお米を炊いても、何だか違和感があったことを思い出した。あれは、お米自体の味が違うからだったんだ。長年食べ慣れたものの味って、知らず知らずのうちに自分に沁みついていたんだなあ。
気が付くと、おにぎりをまるまる一個、きれいに食べ終わっていた。指についた米粒まで、ぺろっと食べていた自分に驚く。
「……嘘みたい。食べられちゃった」
ミャオちゃんも、じっと私のことを見ている。表情は変わらないけれど、なんだか褒められているように感じて微笑み返した。
「ふふ、だから言ったでしょ」
響さんは自慢げに笑って、一心さんは「何で響が偉そうなんだ」と呆れていた。
「お米がすごく甘くて、おばあちゃんが炊いてくれたご飯に近い気がしました。この味、久しぶりに食べた気がする……」
「君のイントネーションが北関東特有のものだったから、茨城県産のコシヒカリを使ってみたんだ。たまたまうちの店でも、茨城の米農家と契約していたから」
「すごい……。私、出身が茨城なんです。おばあちゃんの実家は米農家でした」
「そうか。おばあさんは、いつも地元の米を使っていたのかもしれないな。値は張るけれど、それだけ君においしい米を食べさせたかったのかもしれない」
大学生になったばかりの頃、学食やファミレスでご飯を食べても、自分でお米を炊いても、何だか違和感があったことを思い出した。あれは、お米自体の味が違うからだったんだ。長年食べ慣れたものの味って、知らず知らずのうちに自分に沁みついていたんだなあ。