踏んだり蹴ったり。もしくは、泣きっ面に蜂。
 今の私の心情を端的に表すとしたら、そんな感じ。

 とっさに隠れた柱の陰で、私の目には涙がじわりと浮かんできていた。
 大学からの帰り道、夕方の大通り。目の前には、仲睦まじく手をつないで歩く、元彼と後輩。
 華やかなお店が立ち並ぶ大通りを歩く人たちはみんな楽しそうな顔をしているのに、私だけお通夜状態。

 柱の陰からそおっと顔を出してふたりの様子を伺うと、笑いながら顔を寄せ合っていて、ますますみじめな気持ちになってしまった。
 元彼のアパートは逆方向だし、これからデートなのだろうか。
 そんなことを考えてしまい、思わずその場に座り込んでしまう。

 大学のキャンパスではなるべく顔を合わせないように、会いそうな場所を避けていたのに。帰り道で遭遇してしまうなんて本当についていない。
 思えば私の不運は、一か月以上前から始まっていた。