「あれは…何かしら?」
小さく呟いたルリの声に、その視線の先を辿ったララはそれを見上げて口を開く。
「あれは、鳥という生き物よ」
「鳥?」
「ええ。私たちが海を泳ぐのと同じように、あの生き物は空を泳ぎまわるの」
左右に広がる羽に、尖った長いくちばし。
ルリの瞳は初めて見た鳥という生き物に釘付けになり、しばらくの間その姿をジッと眺め続けていた。
そして数分、流れに身を任せた頃。
「少しだけ、陸を見に行ってみる?」
ララにそう聞かれたルリは、その言葉に驚いて慌てて口を開いた。
「それはダメよ!危険でしょう?」
「大丈夫よ、少し見に行くだけ。とっても綺麗な花が咲いてるところがあるの。行こう」
「で、でも…」
ルリは一瞬躊躇ったが、涼しい顔で先に泳ぎだしていくララを追うような形で、結局そのあとをついていった。