「おめでとう、ルリ」
「ありがとうございます、王女様」
十五歳になったその日。
キラキラ輝くエメラルドグリーンの石が埋め込まれたペンダントを王女から受け取ったルリは、大人になれたことが嬉しくて海の中を泳ぎ続けた。
「ねぇ見て。このペンダント、綺麗でしょう?」
「あぁ、綺麗だね。ルリも十五歳になったんだな」
「そうよ。認定の儀式も終わったし、晴れて大人になったの」
そばを泳ぐ魚たちとそんな話をしながら泳いでいると、姉のララがクスッと微笑みながらルリに近づいてきた。
「ルリ、本当に嬉しそうね」
「そりゃあ嬉しいわ。このペンダントがあればどこまでだって行けるもの」
「ふふっ、そうね。私も三年前、とっても嬉しかったわ。制限なく動ける自由を手に入れられたんだもの」
ララはそう言うと、自らの胸元に輝くペンダントを手にし、それをじっと見つめる。
制限なく動ける自由。
それはルリたち人魚にとって、とても誇らしく幸せなことだった。