今朝の朝食はご飯に味噌汁、それに目玉焼きベーコン。
雄大が作ったものだ。
こんなことは初めてで、琴葉は物珍しそうに朝食を眺めてから、もそもそと食べ始めた。

「美味しい。」

「そう?よかった。」

少し薄味の味噌汁は、琴葉の体を優しく温かく包んでいく。
思わず、ほうっとため息が出た。

琴葉の反応に満足した雄大は、自分も食べ始める。
琴葉が作る食事に比べたらだいぶ味は落ちるけれど、二人でゆっくりと朝食をとるというこの時間がとても幸せだと改めて感じた。

「俺はさ、この先もずっと琴葉と一緒にいたいと思っているんだ。」

「うん。」

「だからさ、琴葉には無理をしてほしくない。」

その言葉に、琴葉はキョトンとする。

「無理なんてしてないよ?」

「琴葉の感覚ではそうなのかもしれないけど、俺から見たら確実に無理をしているよ。仕事しながら家事も頑張りすぎ。だから昨日熱が出ちゃっただろ?俺も料理はこの程度しかできないけど、ちゃんとやるから。」

「うん、ありがとう。」

「それに、たまには外にも食べに行こう。」

「うん。」

琴葉もまた、雄大とゆっくり朝食をとるこの時間がかけがえのない大切なものだということに気付かされ、雄大を見てにっこりと笑った。