ある日突然に、早瀬のところに南部から連絡が来た。
それは、パン屋を経営するから建ててくれというものだった。
早瀬設計事務所は個人物件は取り扱っていない。
だが、約束は守らなくてはいけない。
それが二人の約束だからだ。
デザインの打合せに来た早瀬に、南部はデレデレ顔で言う。
「可愛いだろ、うちの娘。娘が走り回っても危なくないデザインにしてくれよ。」
「はいはい。」
南部のデレデレ顔に若干呆れながら早瀬が打合せのための資料を出していると、ふいに上着をぐいっと引っ張られた。
そちらに視線を向けると、南部の娘である琴葉が早瀬の上着の袖を引っ張っていた。
「どうした?」
「あのね、これ、どーじょ。」
「何かな?」
「パン!」
琴葉が持っていたのは、minamiとロゴが入った紙袋だ。
「お父さんの焼いたパンかな?もらっていいの?」
「うん!おとーさんのパンおいしーの。あげるー。」
早瀬は紙袋を受け取ると、中を覗いてみる。
ふわふわと柔らかそうな食パンが入っていた。
ありがとうとお礼を言おうと口を開きかけたところで、南部が手を叩いて言う。
「よし、早瀬。それが代金だ。」
「は?ふざけんな、バカ。足りねーわ。」
ふん、と早瀬は鼻であしらい、南部と琴葉はニコニコと笑っていた。
それは、パン屋を経営するから建ててくれというものだった。
早瀬設計事務所は個人物件は取り扱っていない。
だが、約束は守らなくてはいけない。
それが二人の約束だからだ。
デザインの打合せに来た早瀬に、南部はデレデレ顔で言う。
「可愛いだろ、うちの娘。娘が走り回っても危なくないデザインにしてくれよ。」
「はいはい。」
南部のデレデレ顔に若干呆れながら早瀬が打合せのための資料を出していると、ふいに上着をぐいっと引っ張られた。
そちらに視線を向けると、南部の娘である琴葉が早瀬の上着の袖を引っ張っていた。
「どうした?」
「あのね、これ、どーじょ。」
「何かな?」
「パン!」
琴葉が持っていたのは、minamiとロゴが入った紙袋だ。
「お父さんの焼いたパンかな?もらっていいの?」
「うん!おとーさんのパンおいしーの。あげるー。」
早瀬は紙袋を受け取ると、中を覗いてみる。
ふわふわと柔らかそうな食パンが入っていた。
ありがとうとお礼を言おうと口を開きかけたところで、南部が手を叩いて言う。
「よし、早瀬。それが代金だ。」
「は?ふざけんな、バカ。足りねーわ。」
ふん、と早瀬は鼻であしらい、南部と琴葉はニコニコと笑っていた。