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ずいぶんと話し込んだ気がして、琴葉はそこでやっと雄大がいないことに気付いた。

「ごめんなさい、長々と。」

「いえ、こちらこそ。何かお役立てできるといいんだけど。」

「はい、とても参考になりました。ありがとうございました。」

琴葉は丁寧にお礼を言うと、残っているパンを二つ購入した。

「ぜひまた来てくださいね。」

「また来ます!」

もう一度ペコリと頭を下げ急いでパン屋を出ると、そこには雄大がにこやかな笑みを浮かべて待っていた。

「雄くん、遅くなってごめんなさい。」

「何かいい情報は得れた?」

「うん!とても参考になったよ。」

「よかった。俺も街並みの写真たくさん撮ってきた。」

琴葉が話し込んでいる間、雄大はひとり商店街を見て回っていた。
そもそもの目的はそれだったからだ。
お互い、仕事のことになるとつい夢中になってしまう。

「琴葉が好きそうなカフェも見つけたから、そこで休憩しようか?」

「わあ、行きたい!私も雄くんが好きそうなパン買ったの。そこで食べれるかな?」

「だったら飲み物をテイクアウトして、河原で食べようか。」

「うん!」

歩き出すと自然と手を繋ぐ。
当たり前になりつつある行動さえ、琴葉は嬉しい気持ちになった。