「なぁ、僕達って昨年もこんな感じだったっけか?」
「んー、そうじゃないかなー?でももっと小さい頃は違ったよね?夏休みになって私がこっちに来ると毎日って言っていいほど市民プールに行ってた。なんだろうね。今だって水は好きだし、プールに行ったら行ったで涼しいし、楽しいし。でも日焼けがー、とか。水着がー、とか。ダイエットー、とか。そういうのを考えちゃうとプールは授業の時だけで充分かなって思うよね」
彩蓮は空っぽになったかき氷の容器をゆらゆらと揺らしながら遠くを見る。
ああ、確かに。
小さい頃は毎日のようにプールに行っていた気がする。
うん、多分行ってた。
子供の夏休みの楽しみとかこの辺りじゃプール位しかない。
ああ、そうだ。
夏休みになると彩蓮が来て、プールへ行って、帰りにはこの駄菓子屋に寄って、かき氷を食べて、口の色でそれが母さんにバレて。
だから僕は彩蓮と一緒に母さんに怒られていた気がする。