悲しいかな。

だけどそれを真摯に受け止めているものは生徒にも舞台脇や舞台下に横一列に並んでいる他の教師の中にもいなさそうだ。

それでも校長先生の話はどんどん奥深くへと広がりを見せる。

そのせいなんかじゃ微塵もないだろうに比例するように体育館の中は温度を上げていく。

舞台前に並ばされた全校生徒数百人はみんなが皆汗だくで、それは横一列舞台袖の教師も一緒で、更には一人熱弁している校長先生ですらの温度で……。

「あっちぃー!」

その後も十五分程たっぷりとお偉い校長先生様のスピーチを聞かされた生徒たちは体育館から解き放たれるなりそう言葉を零した。

「だいたいなんであんなに暑いんだ?休み前の集会は仕方ない。俺は敢えて、甘んじて、受け入れよう。だが!クーラーはどうした?どうしてフルに活用しない?何のための文明の利器だ!?」

校長先生に触発されたか、そう熱弁を繰り広げるはクラスの人気者イッチーこと市江くんだ。