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ああ、そうか。

目を開いた俺は唐突に思い出す。

そうだ、俺は海に来ていたんだ。

そう自覚すると、さっきまで無音で何も無かった世界に波の満ち干きする音が響き渡った。

目の前にはただ広くそこにある海。

風がたまに額に張り付いた髪の毛を撫でてゆく。

その風は生温くて、ああ、夏の夜だな、と思う。

ん?

夜?

俺がここへ来たのは……、確か……、夕方ではなかったか?

変だなと思い、取り敢えず俺は再び目を瞑る。

視覚が塞がったことで聴覚が更に細かい音を拾う。