「かき氷食べれなかったし食べちゃう?」

「そうだな」

 彩蓮と俺はその場で立ったまま小さな木ベラでそれを食べた。

 かき氷には程遠い冷たさ、だけど優しい冷たさが口の中に広がる。

「冷たかったね」

「ああ」

「美味しかったね」

「うん」

「明日はかき氷を食べに行こうね」

「そうだな」

 食べ終わると俺達は手に空の容器とヘラを持ったまま家へと歩いた。

中身のない空っぽの容器は、直ぐに体温で温まってしまっていた。