だが、どうやらもう今日の営業は終わっていたらしい。
「ごめんなぁ。ばばもほれ、歳のせいかさっさと眠たくなるもんで、んだからさっさと飯さ食べるかぁと最近は早めに閉めてるんだわ」
おばあさんは話しながらカウンターの奥の居住スペースを指差す。
小さなちゃぶ台と、その上には食べかけの夕飯が並んでいる。
「そうなんですね?ご飯の邪魔しちゃってごめんなさい。そしたらまた明日買いに来ます!」
「悪いんねぇ」
「いえ!それじゃあおばあちゃんまた明日!」
彩蓮は挨拶を終えると出口へと歩き出す。
さっきから置いてけぼりを食らい続けてる俺も、尺だがまた置いていかれながらも彩蓮の背中を追いかける。
「ああ、そうだ。ちょっと待ちぃ」
おばあさんの呼びかけに彩蓮は気づかず店の外へと行ってしまう。