「いや……、視覚から入る味ってなんだよ?味は味覚だろ?」
「こんばんはー!すみませーん!いちごのかき氷二つ下さーい」
人の話を完全に無視して彩蓮は駄菓子屋の奥に向かって呼びかける。
「はいはい。なんでしょう?」
直ぐに奥から腰の曲がったおばあさんが出てきてくれた。
「おばあちゃん、かき氷二つ下さいな」
「あら、申しわけねぇなぁ。今日はもう片付けちゃったさ」
おばあさんの口からは何となく察しがついていた言葉が出てきた。
店の中は夕方だからだけではなく、単純に電気が落とされていて暗くなっていた。
だから閉まってるのかと思いきや、引き戸は簡単に開いて、ああ、昔からここのおばあさんはおばあさんだったから、客が居ない間は電気の節約かなんかで電気を消しているのかなと思った。