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「はい、静かに!では校長、お願いします」
「コホン」
七月二十日。
夏休みを翌日に控えた俺達は降り注ぐ猛暑日にクーラーも設置されていない体育館に集められていた。
「えー、明日から夏休みに突入する訳ですが……」
小学生の頃から何ら代わり映えのしない夏休み前のスピーチを校長先生は長々たらたらと始める。
代わり映えしないとは言ったが、勿論小学生の頃の校長が今通っている高校の校長を務めている訳では無い。
ただたとえ別人だろうと内容は針の先程も代わり映えしない。
『羽目を外すことなく、云々』
『怠けることなく、かんぬん』
そこに実体験と個人主張の激しい文言をプラスして、話は佳境へと入っていく。