「なかなか面白い価値観を持った先生だね。この先生の授業、面白いでしょう?」

「確かに話は面白いな。生徒の興味の引き方がうまいと思う。けど、たまに持論を語りすぎてこれは授業として成り立ってるのかなってくらい脱線したりもしてるけどな」

「いいんじゃないかな?それで。勉強なんて先ず興味を引くことが大事だと思うし、学問としての学びもだけどそういう脱線って自分の価値観を広げると思うからそれも大切だと思うし。そもそも学問としての知識なんてテストが終わっちゃえば殆んど使うこともないしね」

 はにかむ様に笑いながら彩蓮はそう言った。

「彩蓮がそんな風に言うなんてちょっと意外だな」

 彩蓮は『何が?』と問うように首を傾げる。

「勉強。お前はたまに説教くさいところがあるから、脱線が大切とか学問としての知識云々とか、なんかこう……。な?」

 言葉を見つけられない俺に、彩蓮は「ふふ」と小さな笑いを溢している。