加えてだ。
俺は去年までの彩蓮との過ごし方がいくら考えても蘇らない。
彩蓮は俺の親戚で、小さい頃からよく知っていて、よく笑って、よく泣いて、よく食べて、よく喋って。
ほら、俺は彩蓮がどんな女の子なのかを細かく知っている。
そのワンシーンワンシーンは再生できる。
のに……。
如何してだろう。
やっぱりこっちで過ごす彩蓮との思い出だけが抜け落ちている。
「成流?宿題、やらないの?」
椅子に座ったままボウっとそんなことを考えていると遂に彩蓮に指摘されたしまった。
「俺ってさ、去年とか彩蓮と何して過ごしてたっけ?」
「成流?頭大丈夫?」