ああ。

 俺の人生はなんと刺激に欠如したものなんだろう。

 そう思ったのは初めてのことだった。

 別に前々から不満だった訳ではないし、なんなら意識したことすらなかった。

 だけど夏休みを目前、と言うか次の日に控えたその日。

 何故か俺は急に”それ”を意識してしまった。
 
 絶えられなくなった。

 一度”それ”を見てしまったら無視することは至極困難で、俺は息が詰まるのを感じた。

そのままの勢いで、柄にもなく”生きる意味とは?”とか考えてしまった。

結果、止まらなくなった。

止まらないまま、俺の思考はどんどん谷底へと落ちていった。