イッチーの問いかけに中田くんはポテトを一本つまんでから答える。
「俺は明日から早速旅行。帰ってくるのは一週間後かな」
「いいなー!どこ行くの?」
「ばあちゃんち。母親方の」
「まじか!横浜だっけ?」
「いえーす。レッツエンジョイ夏休みってな」
中田くんのお母さんは物好きにも大都会横浜からこの辺境の地に嫁いできたらしい。
嫁いで十数年。
中田くんのお母さんはここら辺じゃちょっとなの知れた人になっている。
「帰るかぁ」
「だねぇ」
ポテトも食べ終わりもうここでする事は何もない。
俺たちは普段と変らぬタイミングで普段と同じように、帰路に着くべくポテトの乗っていたトレーを片付ける。