「頼んじゃったしね。食べるには食べるけど夕飯いらねーかも。うん、食うか」
「成流も優しいねぇ。俺なら絶対断ってるわ。仕方ない。食えなかった分は俺が手伝うか」
中田くんの申し出に夢丼に箸をつける前から胃が満たされる。
「は?ずる!俺のも手伝ってくれるよな?」
「お前は好きで頼んだんだろ?嫌だね。俺だって自分の分は買ってるわけだし無限胃袋じゃないし完全に無理」
「はーぁ?ずっる!ずっるいぞ成流!」
ずるいと言われても、である。
「イッチー、食べようぜ。いただきまーす!」
面倒くさくなる前にイッチーの口を物理的に塞ぐ。
イッチーはその後もブツブツ言いながら夢丼を綺麗に平らげた。
(何だかんだ良いとこ育ちのイッチーは食べ物と女の子は粗末に扱ったりしないのだ)