「やめろって。イッチーのそれは洒落になんないから。本当に何もないんだ。しいて言うなら何もなさ過ぎて笑っただけだよ」
俺の言葉に耳だけを向けていた中田くんたちまでが首を傾げる。
「いやさ?こうして会うのって久しぶりじゃん?夏じゃん?長期休みじゃん?なんかさ、こう……、誰かは何か夏休みデビューらしきものをしてろよとね思ったわけです。ドラマとか漫画でもよくあるじゃん?夏休みデビュー?なのに誰も何も変わってないんだもん。せめてガンガンな日焼けとかさ、髪を染めるとかさ?ふっ。みんな何も変わらな過ぎてやっぱ笑える」
みんな本当に変わらなすぎだ。
見た目も、雰囲気も何にも。
俺は死にかけたのに。
生死の境を彷徨うとかめちゃくちゃデカい経験をしたのに。
みんなは何一つ変わりなさすぎて笑える。
安心する。
笑ってしまう。