壁。

 見えないようにしていたつもりなのに、それでもやっぱり見えていたのだと。

 その上で、中田くんはシャットダウンをせず見守ってくれていたのだと。

 程よい距離感とか言いながら、陰で気を使わせていたのだと。

「適当に買ってきちゃったけど良かったかしら?って言うかお父さん来ちゃったのよ。よかったらうちに来ない?」

 会話が切れたタイミングで母さんと父さんが入ってくる。

「でも、イチも起きたばっかりだしご迷惑にもなりますし」

「俺はもう全然元気。なんせ寝まくってたからな」

「そうよー。バカ程寝てたし体の方は先生のお墨付きだしうちだって全然迷惑なんかじゃないわ」

 母さんの言葉に、一同俺の家へと移動することになった。