イッチーからの返事はそれだけだった。
バタバタバタ。
ガラッ。
「本当に起きてる」
どう返そうかと考えあぐねていると忙しなくドアが開く。
入ってきたのはイッチー、中田くん。
鈴城さんと波野さんもいる。
「ああ、寝すぎたわ。ごめん。イッチー、ありがとう。中田くんも鈴城さんも波野さんもありがとう」
「母さんちょっと飲み物でも買ってくるわ」
気を使ってか母さんはそう言って病室を出ていく。
「ごめんな、成流。あの時意地でも一緒に行けばよかった。一人で行かせるんじゃなかった。ごめん」
イッチーは手を固く握りしめてわなわなと震えている。