「目が覚めましたか。念のため少しチェックさせてくださいね」

 質素な食事を食べ終える頃、そう言ってやってきたのは俺の主治医だろうか。

 まだ大分若そうな医師が体温やらなんやらを図りだす。

「うん、問題ないね。この調子だとこのご飯じゃ足りなかったでしょう」

 医師は「はっはっは」とか笑っているが俺にとっては笑い事ではない。

 たった今食べ終わったばかりだというのに腹の空間はまだまだ余裕で空いている。

「成流!」

 ドタドタドタとでかい足音を響かせ病院には大層迷惑な大声でやってきたのは母さんだ。

「アンタ、本当に、眠り過ぎなのよ。母さん心配したんだから。何か悩んでることがあるなら言いなさい。聞くから。お願いだからあんな事に度としないで。ごめんなさい。母さん何も気づいてあげられなくて。ごめんね、成流」

 そう言って母さんは泣き出してしまう。