「あらやだ。起きてたの?びっくりするから何か言って欲しいものだわ」
食事を運んできた看護師なのか、少し小太りしたおばさんは全く驚きを現さずにそんなことを言っている。
しかし、と思う。
俺は『食べます』と言ったはずで、何かは言ったのだが……。
「一応先生にお知らせしてくるから私は離れるけどゆっくり食べてちょうだいね」
なんて言ってその看護師らしきおばさんは消えていくが、俺は離乳食を覚えたばかりの赤子じゃない。
ただ少し眠っていただけで大げさじゃないかと思うのだが。
そして、ベッドに付いている机の上に置かれた食事を見て再度思う。
大げさだ。
どれくらい眠っていたのか知らないが、用意されている食事はおかゆと吸い物と少量の煮物?
病人ならば分かるが中身に異常のない俺には完璧に物足りない。