パチパチパチパチ。
花火の音が止み、空間には大勢の拍手が鳴り響く。
花火が、夏が、終わる。
「うん。少しだけ寂しいけどね、でももう私は必要ないんだよ。やっと成流に私が見えたんだもん。私は成流の心から生まれたもう一人の成流で、これから私が帰ろうとしている場所は私が生まれた場所で。そして、成流はそのことを全部宜ってくれた。大丈夫。成流は私が見えなくなってももう歩いて行けるようになったんだよ」
「また、歩けなくなってしまったら?」
抗いようもなく重くなっていく瞼を擦りながら問いかける。
そうしないとあっという間に瞼が閉じてしまいそうだった。
「その時は自分の心をよく見て。声を聴いて。別に私は消えてなくなるわけじゃないんだもん。ただ元居た場所へ帰るだけ。こうして会うことはもうできないけど、ずっといつまでも私たちは一緒だよ?だって……」