「成流?泣いているの?」

 彩蓮の言うとおりだった。

 俺は何故か泣いている。

 夜空に輝く大輪の花を見上げて何故か泣いている。

「はは」

「あ、今度は笑ってる。忙しいねー」

 だって”何故か”だなんて笑うじゃないか。

 俺が泣いてる理由なんて俺は嫌になるほど自覚している。

 その理由を彩蓮だって分かってしまっている。

 それなのに”何故か”だなんてそんな恭謙、一体誰に向かって。

「彩蓮、お前はどこに帰るんだ?」