『ご来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました』

『わぁー!』

会場の方からは海の波みたいに歓声が流れる。

遂に始まるのだ。

もう本当にすぐにでも花火が打ち上がる。

ミーンミンミンミン。

アナウンスと歓声に一度消された蝉の鳴き声が戻ってくる。

今、会場には全校集会の比じゃなく多くの人々が集まっている。

それが今は皆がみんな、これから打ち上がる花火に期待を寄せ固唾を飲んでいる。

静かな興奮が充ちている。

そのせいだろうか?

その興奮に感化されているのか、はたまたこれが通常運転なのか分からないが心臓の音が異様に大きく聞こえてくる。

普段意識することなんか全くないから、今聞こえてくる音が普通なのか異常なのかも分からない。