「んー?」

だがしかし、自分から呼びかけたくせに彩蓮から返事はない。

ないまま、彩蓮は気の隙間から離れて丘陵地の中心部へと身を潜める。

ただ名前を呼ばれただけなんだろうか?

やっぱり会場から花火を見たくなった?

彩蓮が奥の方へ行ってしまった為その表情をここからは確認できない。

別に今に始まったことじゃないが、俺にはイマイチ彩蓮の考えが見えてこない。

それでもまあいいかと俺は再び会場の方へ視線を移す。

まあいい。

本当に意味は無いかもしれないし、仮に意味があるならまたそのうち話し出すだろう。

ちょうどその時、的屋にぶら下げられた電球や会場を囲むようにぶら下げられている提灯の明かりが一つ、そしてまた一つと落ち始めた。