むしろ感じるのは居心地の良さ。
そんな自分は冷たいのだろうかとも思うことがあるが、同時にこれは自分が強いと言う証ではないかと誇らしく思うこともある。
「ふんえぐぁ゛ぁぁぁぁ」
容赦なく降り注ぐ力強い日差しの中、歩いた時間はほんの十数分。
が、真夏の十数分は他の季節の数時間分もの体力を失う。
汗だくになって、弱音を吐いて、怒りを抱いて、そうやってやっとこさ着いた天国のような涼しさの店内に入るや否や俺達は揃いも揃ってよくわからない言語を発した。
あまりの温度差に、文明の利器に、俺達は入口で束になったまま突っ立っていた。
「ちょっと!そんな所に突っ立ってたら邪魔よ!」
それを恰幅の良い中年女性に注意される。
俺は喧嘩っ早いイッチーの切り返しを懸念したが流石のイッチーも暑さと空腹で中年女性へ回せる余力はないらしい。